贈り物のマナーと基礎知識

用途別マナー

日本には、大切な人の人生の節目に際して、贈り物を贈ることでお祝いの気持ちを表すことを美徳とする文化があります。その証拠に、結婚祝い・出産祝い・入学祝い・就職祝い・新築祝い・還暦祝いなど、「~祝い」という言葉がたくさんあります。

その一方で、結婚内祝い・出産内祝い・新築祝い・就職内祝いなど、「~内祝い」という言葉もたくさんあります。現在では「贈り物をくれた人は身内みたいなもの」ということで、その人へのお返しという意味を持つようになりました。

それでは、お祝いの贈り物には、主にどのような種類があって、どのようなことに気をつければいいのかを具体的に見てみましょう。

お祝い

入学祝い / 成人祝い / 就職祝い

入学・成人・就職する子供に対して、両親や祖父母や親戚やごく親しい友人など、 内輪の人が贈ります。子供が受け取るので、本人に何が欲しいかを尋ねるか、 カタログなどで選択肢を与えてあげるのがベターでしょう。 現金や商品券なども、選択肢を与えるという意味で人気があります。

新築祝い

新しい家を建てたことに対する祝福と、新しい生活を応援する気持ちを込めた お祝いです。以前の家よりも縮小した新築の場合には「御転居御祝」「御新居御祝」と いう形で贈るとよいでしょう。なお、火事を連想させる灰皿やストーブ、そして 「赤いもの」はタブーですのでご注意を。

出産祝い

近しい人の出産に対して、お祝いの気持ちを込めて贈ります。贈り物を受け取る 妊婦さんが本当に喜ぶものとしては「商品券・現金・カタログギフト」など 実生活に直結するもの。「おむつ・ベビー服」などの消耗品も人気が高いよう です。産後1ヶ月以内に贈るようにしましょう。

還暦祝い

60歳を迎えたお祝い。「長寿を祝う」から「第二の人生を祝う」に意味合いが 変わってきています。本来の贈り物である「赤いちゃんちゃんこ」は実用性に 乏しいため、赤いセーターやネクタイ、赤ワインなどが贈られるようになっています。 70歳の古希、77歳の喜寿、80歳の傘寿などもあります。

その他のお祝い

引っ越し祝いや開店祝い、栄転・昇進・定年退職など仕事の状況変化に対するお祝い、 さらに誕生日や母の日なども定番のお祝いもあります。また、厳密に言うとお祝い ではありませんが、お世話になった人に対して年末に贈るお歳暮、7月初旬〜中旬 (地方によっては旧暦の8月)に贈るお中元などもあります。

いただいたお祝いへのお返し

結婚引出物

結婚披露宴に出席してくれたことに対する感謝の気持ちを表わす贈り物を「引出物」と いいます。出席者全員に同じ品物を贈ることが多いですが、親戚や友人など、関係性に よって品物を変えるケースも増えています。夫婦での出席に対しても、お一方ずつに 贈るのが礼儀です。

結婚内祝い

披露宴には出席してもらえなかったものの、お祝い金をいただいた方に対するお返しを 「内祝い」といいます。頂いたお祝い金の3分の1から半額程度のものをお返しするのが一般的です。 結婚式が終わってから、遅くとも1ヶ月以内に贈るのが礼儀です。

出産内祝い

自分たち夫婦の出産に対して、お祝いをいただいた方へのお返しです。結婚内祝いと 同様、いただいたお祝い金の半額から3分の1程度のものをお返しするのが一般的です。 のしには、出産した子供の名前を書いて贈ります。子供の生後1ヶ月経った頃 (お宮参りの頃)に贈ります。

新築内祝い

新築祝いに対するお礼です。本来は新築披露会などにお招きすることが最大のお礼に なりますが、諸事情でお招きできない場合に贈ります。「ぜひ我が家に遊びに来て ください」という意味合いを込めて贈るもので、新築披露会が終わってから 1ヶ月以内に贈るといいでしょう。

成人内祝い / 就職内祝い

成人祝いや就職祝いをくれた方に対するお返しです。いただいた金品の半額から 3分の1程度のものを贈るのが一般的です。就職内祝いは、自分の初任給でお返しする のが礼儀でしょう。なお「入学内祝い」は贈らなくても礼儀には外れません。 収入のない年頃の子供にお返しは求めるのは酷だからです。

快気祝い / 快気内祝い

病気見舞いをしてくださった方に対して、自分が元気になったことを報告するための 贈り物です。お見舞いの際にいただいた品物の、半額から3分の1程度のものを 贈るのが一般的です。退院後に落ち着いてから贈りましょう。病気を後に残さないとの 縁起を担いで、消耗品が良いとされています。また、病気が回復しても、もう少し 通院が必要な場合は「快気内祝い」と言い、全快した場合の「快気祝い」とは少し 意味合いが異なります。

贈り物の相場

「お祝いは贈りたいけれども、いくら程度のものを贈ればいいのだろう?」という疑問を持っている人は少なくありません。

「贈り物は気持ちですから、いくらでもいいんですよ」
――これが本来の回答なのですが、それでもおおよその目安を知りたいというのが人情でしょう。

そこで、贈り物の相場について簡単にお話したいと思います。
贈り物の相場は、先に「最初に贈る側」(お祝い品やご祝儀など)に関する相場があって、それに対する内祝いなどの「お返し」に対する相場がほぼ連動しています。具体的には、いただいたお祝い品やご祝儀の3分の1~半額程度のお返しをするのが基本となっていま

相場一覧

最初に送る側

  兄弟姉妹等の親類 勤務先の関係者 友人知人
結婚祝い 5〜10万円 2〜5万円 2〜3万円
出産祝い 1万円 5000円 5000円
新築祝い 1〜3万円 5000円程度 5000円〜1万円
お見舞い品 5000円〜1万円 3000円程度 5000円程度
就職祝い 1万円程度 - 5000円程度

お返しを贈る側

  相場の目安 お返しする期間の目安
結婚式引出物 5000円程度
※引菓子が含まれた相場の目安です。
※引き出物だけの場合は3000〜3500円程度になります。
-
結婚内祝い いただいた金品の1/3〜半額程度 金品をいただいてから1ヶ月以内
出産内祝い
新築内祝い
快気祝い
就職内祝い

贈り物で悩んでしまうこと

贈り物で悩む

贈り物で最も悩んでしまうこと。それは
「何を贈ったら相手に喜ばれるだろうか?」
「相手が本当に必要としているものは何だろうか?」
ということではないしょうか。

特に内祝いの場合は、贈る側は結婚後や出産後など新しい生活をはじめている最中なので、何かと忙しく贈り物を決める時間をとるのも難しいもの。
また貰う側はできるかぎり貰って嬉しいものが欲しいものだから、あまり奇抜なものよりも食品や飲料、日用品や消耗品など、日常生活で必要なものを贈るのが望ましいでしょう。

以上を踏まえた上で、カタログギフトと通常の贈り物について検討してみましょう。