出産祝いと出産内祝いのマナー

赤ちゃんが誕生したときに、赤ちゃんとご家族に向けて贈るのが出産祝いです。「おめでとう」の気持ちを込めて贈る、非常に喜ばしいギフトですよね。

一方で、それに対する「お返し」となるのが出産内祝いです。赤ちゃんを迎えた家族が、お祝いをくれた方に対して贈るギフトとなります。どちらも出産前後、バタバタしがちな時期に贈るギフトですから、マナーについてもしっかりと頭に入れておきましょう。事前にチェックしておくことで、失礼な振る舞いを防ぐことができるはずです。

出産祝い、そして出産内祝いについて、知っておきたいマナーについて解説します。贈り方とタイミング、贈り物の品物や相場、避けるべきタブーを知りましょう。

贈り方とタイミング

贈り方とタイミング

まずは出産祝いと出産内祝い、それぞれの贈り方とタイミングについてです。

出産祝いは、相手から「無事に出産が終わったこと」と「母子共に健康状態が安定していること」を確認してから用意するようにします。

妊娠・出産は「病気ではない」と言われていますが、実際の現場では、何が起きてもおかしくないという現実があります。「無事に出産が終わって、母子ともに健康である」という確認が取れないままでお祝いを贈ってしまうと、相手にとって、かえって負担になってしまう可能性があります。

必ず、相手方から喜ばしい報告が来た時点で、出産祝いを用意するようにしましょう。

お祝いの品を贈る時期として適当なのは、生後7日から生後1ヶ月ほどの間です。これよりも早い時期には、まだお母さんの体調が落ち着いていないことも考えられますし、慣れない赤ちゃんとの生活で、バタバタしていることも考えられます。

相手の状態が落ち着いてきた頃合いを見計らって、贈り物をすると良いでしょう。相手との関係が非常に近い場合には、自宅まで直接持っていって、赤ちゃんの顔を見せてもらうのもオススメです。そこまでの関係性ではない場合には、大変な時期であることも見越して、「自宅に送付する」のがベストです。相手にとっても、負担になりにくいでしょう。

また出産祝いは、地域によっても「贈るべき時期」が異なっているケースもあります。この場合は、相手先の風習に従って用意するのがオススメです。お祝いの気持ちを、ストレートに伝えることができるはずです。

さて次は、出産祝いをいただいた際の「お返し」となる、出産内祝いについてです。自分たち家族に「おめでとう」の気持ちを届けてくれた相手に対する返礼品ですから、失礼のないよう心掛けたいところです。

産後の時期に手配することになり、バタバタすることも考えられますから、事前にある程度リサーチしておくと良いでしょう。出産祝いをいただいてから、1ヶ月程度を目安に送付するのがベストです。

出産内祝いでは、のしに赤ちゃんの名前を振り仮名付きで明記し、贈るのがマナーとされています。赤ちゃんの名前を正式にお披露目する、という意味も込められていますから、忘れないように手配してください。

遅くても生後2ヶ月までには手配を完了することで、相手を不安にさせません。

贈り物の定番と相場

贈り物の定番と相場

出産祝いと出産内祝いには、それぞれの定番ギフトと知っておきたい相場があります。それぞれを詳しく解説していきます。

★出産祝い・出産内祝い、それぞれの相場は?

まずは気になる「金額」についてです。心を込めて贈りものをすることはとても大切なことですが、金額面でマナーを守っていなければ、「おめでとう」「ありがとう」の気持ちも届きにくくなってしまいます。

出産祝いの金額は、相手との関係性によっても変わってきます。

友だちへの出産祝いの場合、5,000円~10,000円が相場となります。兄弟姉妹の場合には、10,000円~30,000円です。上司や部下など会社関係の場合には、一人3,000円程度で、連名でお祝いを贈ると良いでしょう。

「そこまでの関係性ではない」という場合には、「出産おめでとう」の気持ちを伝えることが何よりも重要です。相手に気を使わせないためにも、ちょっとしたプチギフトと「おめでとう」の言葉で充分なケースも少なくありません。

一方で出産内祝いの場合には、「いただいた金額の半額」というのが基本的なマナーです。10,000円以上の高額なお祝いをいただいた場合には、3分の1程度に留めてお返しをしても良いでしょう。

ときおり「相手に喜んでもらいたいから」という理由で、いただいた金額よりも高いお返しをする方がいますが、これはマナー違反です。相手に不快な思いをさせてしまいますから、避けてください。

★贈り物の定番は?

出産祝いの定番は、「ベビー用品」です。ベビー服や可愛らしい小物、おもちゃなども人気です。オムツなどの実用品も、ギフトとしてラッピングしてあるものであれば、「おめでとう」の気持ちをストレートに届けてくれることでしょう。

特に人気が高いのがベビー服ですが、生まれてくる季節やサイズに注意する必要があります。春生まれの赤ちゃんに、冬用の新生児服をプレゼントしても、着用機会がありません。また50~60センチの新生児服は、お祝いでいただく機会も多いので、避けた方が無難です。

少し大きめのサイズで、長く使える80~90センチサイズを選んだ方が喜ばれるでしょう。もちろん相手の趣味を考えた上で、喜ばれるアイテムを選んでください。

またこれから何かとお金がかかる時期ですから、わかりやすく「現金」で用意するのもオススメです。相手が好きなものを、自分で選べるというメリットもあります。

出産内祝いの場合には、残念ながら「現金」という方法はオススメできません。あまりにもあからさまに金額がわかり、年配の方を中心に、拒否反応を示す方も多いためです。

・石鹸やタオルなどのギフトセット

・お茶やお菓子などの詰め合わせ

・カタログギフト

これらのアイテムであれば、「もらって困る」という方も少ないはずです。大変な時期に手配しなければならないギフトだからこそ、インターネットなども上手に活用して、相手に喜ばれる品を選んでみてください。

出産祝いと出産内祝いのタブー

出産祝いと出産内祝いのタブー

最後は、出産祝いや出産内祝いでタブーとされる項目についてです。知らない内に相手を不快にさせないためにも、ぜひ頭に入れておいてください。

出産祝いでは、弔辞に使用される機会も多い「日本茶」は避けた方が無難だとされています。「刃物」なども、縁を切ることをイメージさせるため、好ましくありません。

また出産祝いのカードで、「なくなる」や「きる」などの言葉を使うのは辞めましょう。相手に不吉なイメージを抱かせてしまいます。特に産後のお母さんの状態はさまざまですし、精神状態が落ち着いていないことも考えられます。細心の注意を払うようにしてください。

一方で出産内祝いでのタブーも、同様に「日本茶」や「刃物」などが挙げられます。品物選びに気を使うのと同様に、贈る金額やタイミングについてもしっかりと気を配ることが、気持ちの良い内祝いにつながります。

ただし「カタログギフトに掲載されているこれらのアイテムを、相手方が選ぶ」というのはそれぞれの自由。失礼には当たりませんから、どうぞ安心してくださいね。

マナーを守って気持ちを伝えましょう

新たな家族が誕生するということは、非常に喜ばしいことです。ぜひ出産祝いで「おめでとう」の気持ちを伝えたいところ。しかしマナーを無視した振る舞いをすれば、かえって相手に負担を与えてしまうことも……。事前にしっかりと頭に入れて、気持ちよくお祝いできるよう意識することも、大人として大切なことです。

また出産内祝いを贈る場合も、同様にマナーを守って行動することが大切です。精神的にも肉体的にも余裕がない時期に準備しなければならないギフトですが、だからといって手を抜くのはオススメできません。せっかく出産祝いをしてくれた方に対して、恩をあだで返すようなことになってしまいます。

自分の気持ちを届けるために、マナーを守ることはとても大切なこと。出産祝い、出産内祝いにおいても、それは例外ではありません。マナーを守った上で、「どうすればより相手に喜んでもらえるのか」を考えてみてくださいね。「出産」という特別な瞬間だからこそ、贈り物と共に、気持ちを伝えるメッセージを贈るのもオススメですよ。