結納返しのマナーに気をつけよう

結婚の形が多様化している今、行われる機会も減ってきているのが「結納」です。実際に「結納は省略して、結婚の手続きを進めていく予定」なんて方も多いのかもしれませんね。

しかし「一生に一度の儀式だからこそ、きちんとやりたい!」という希望を抱いている方も、まだまだ決して少なくはありません。この場合、新郎新婦のため、そして新郎新婦を大切に思っているご家族のため、「結納を行った方が良い」と考えられる場面もあります。

結納と共に発生するのが、「結納返し」です。結納の数が減少している今、「結納返しって、そもそも何のこと?」なんて思う方も多いのかもしれませんね。これから先、「家族」としてみんなが仲良くしていくために、忘れてはいけない「結納返しのマナー」について解説します。

結納返しとは?

結納返しとは?

まずは「結納返し」の具体的な内容について勉強しましょう。

そもそも結納とは、男性側から女性側へと贈り物や現金を渡し、新郎新婦が両家の家族の前で、正式に婚約するための儀式となります。

このときに、男性側が用意するものを結納品や結納金と言い、それに対するお返しとして、女性側が用意するのが「結納返し」となっています。

伝統的な結納返しでは、以下のような品物が選ばれていました。

  • ・目録
  • ・熨斗
  • ・御袴料
  • ・子生婦(こんぶ)
  • ・寿留女(するめ)
  • ・友白髪(ともしらが)
  • ・末広(すえひろ)
  • ・家内喜多留(やなぎだる)

目録とは、結納返しの品を紹介するため、書き並べたもの。そして御袴料は、結婚準備のためのお金を指しています。

両家のおめでたい日を祝し、そして今後もさらにおめでたいことが続いていくよう、品物が決定されています、例えば「こんぶ」は子孫繁栄を、そして「するめ」は花嫁が長く嫁ぎ先にとどまれるよう、祈る気持ちが込められています。

とはいえ近年では、ここまで本格的な結納を執り行うご家庭は減少傾向にあります。それぞれの家の事情や、新郎新婦の希望に合わせて、「お金ではなく品物で」「現金のみで」など、簡略化されるケースも少なくありません。

また結納返しの品物は、関東と関西では違っている点も多いものです。関東式では一般的なこんぶやするめは、関西式では用いられません。

「できるだけ本格的に行いたいけれど、全てそろえるのは負担が大きい」という場合には、「熨斗・お金(御袴料)・末広」の3点で行われることが多いようです。この方法であれば、関東式・関西式のいずれにも対応可能です。

結納返しの相場は、地域によって違うもの。覚えておくべき結納返しのマナーとは?

結納返しの相場は、地域によって違うもの。覚えておくべき結納返しのマナーとは?

結納返しのマナーで、特に気になるのが「金額の相場」についてです。婚礼準備のために使われる結納金は、やはりそれなりにまとまった金額になりがちです。そのお返しとなると……いったいどれぐらい用意すれば良いのか、戸惑ってしまう方も多いことでしょう。

実はこの「結納返しの金額」についても、地域差が現れやすいポイントと言えます。ここでは、「関東式」と「関西式」の二つのパターンに絞って、相場金額を紹介していきます。

関東よりも東のエリアでは「関東式」

関東式の結納の場合、結納返しの相場は、「いただいた結納金の約半分」です。その他のお祝いなどと同様で「半返し」が基本と覚えておきましょう。

100万円の結納金をいただいた場合、女性側は結納返しとして、50万円程度を用意する必要があります。全てを現金で用意するケースもあれば、「オーダースーツの仕立て代」や「記念品」として、「物」を贈るケースも少なくありません。

関東式での婚姻は、「新郎新婦、両方の家が同格である」という考え方に基づいて行われるため、結納返しの金額も高くなりがちです。とはいえ、いただいた結納金よりも結納返しの方が多いというのは、マナー違反に当たります。少し控えめにするぐらいでちょうど良いということを、頭に入れておきましょう。

関西よりも西のエリアでは「関西式」

一方で関西式の結納の場合、基本的に結納返しを用意する必要はありません。結納とは、男性が女性側に贈るだけのもの。女性側からお返しをするという考えは、根付いていません。

関西エリアにおいては、「迎える側が格上」と考える風潮があり、「嫁に迎える男性の方が、多くの費用を負担する」という考え方が一般的になっているからです。

とはいえ最近では、「まったくお返しをしないのも、落ち着かない」と考える方も増えてきています。関東の「半返し」ほどではなくても、「1/10程度の現金や品物」で、結納返しをする方もいます。

結納返しの相場は、地域によって全くことなるものです。自分にとっては「常識」でも、実は相手にとっては「非常識」ということもあり得るので、十分に注意しておく必要があります。

また結納返しについて、覚えておくべきマナーは以下のとおりです。お互いに失礼がなく、滞りなく結納を進めていくためにも、ぜひチェックしておいてください。

結納返しを準備する時期は?

結納返しは、結納をいただいてからあらためてお返しをするというスタイルが一般的です。結納が無事に終わったら、あらためてお日柄の良い日を選び、結納返しを準備するようにします。

とはいえ最近は、両家の距離が離れているなど、両家の御家族が何度も集まるのが難しいようなケースも少なくありません。この場合、結納の日に結納返しも行い、同時交換するスタイルが主流になってきています。

結納を取り交わすことになったら、結納返しについてもしっかりと考えておきましょう。

金額については、事前の相談が大切

特に結納と結納返しを同時に行う場合には、「相手先に対して、いくらぐらい包むのか」という点が非常に重要なポイントとなります。

先ほどもお伝えしたとおり、自分にとっての常識が、相手にとっての非常識になってしまうケースもあります。自分の常識だけをたよりに、結納返しの金額を決定してしまうと、相手に恥をかかせてしまう可能性もあるのです。

特に結納は、金額が大きくなりがちです。万が一ここで、両家の間にトラブルが起きてしまえば、その後の関係修復が難しくなってしまうかもしれません。

「お金の話をするのはちょっと……」とためらう気持ちはわかりますが、事前にお互いの状況を伝え合い、金額のすり合わせを行っておくことは、非常に大切なのですね。

特に関東式の場合は、結納金と結納返しとのバランスが重要ですから、できれば事前に確認しておきましょう。

品物で贈るなら、相手に喜んでもらえるものを

結納返しは、二人の婚礼準備のためのものです。「お金」ではなく、品物で贈るケースも少なくありません。このような場合には、二人の新生活を見据えた上で、相手にとって必要なものを選択するのがオススメです。

とはいえ結納返しとなると、やはりそれなりに高価な品物を選ぶことになります。スーツのお仕立券や長く使える礼服、さらに高級腕時計などが人気を集めています。

より自由なスタイルで結納を考えるのであれば、お互いに高級ブランド時計を贈り合う、というのもオススメの方法です。長く使えるものであれば、「これから先、長い時間を共にしていく」という気持ちも、より一層強くなっていくでしょう。

結納返しのマナーは、地域や状況によって大きく変わるもの

結納返しのマナーは、地域や状況によって大きく変わるもの

結納や結納返しに関するマナーは、家ごとの考え方や、地域ごとの風習によって、大きく変わってくるものだと言えます。だからこそ、新郎新婦とその家族が、上手に意思疎通を行いながら、自分たちにとってのベストを探していく必要があります。

伝統的なスタイルで結納を行おうとした場合、特に関東式においては、準備するものも多く、負担が大きくなってしまうことも考えられます。自分たちにとって、無理のない範囲で行うのも、ありだと言えるでしょう。

結納返しでは、カタログギフトと現金・その他の品物を組み合わせて贈る方法もオススメです。多数のアイテムが掲載されているカタログギフトであれば、好みの品物を自分自身で選択することが可能となります。

このときのポイントは、「上質感」を大切にすることです。「結納返し」という記念すべき意味が込められていることを、しっかりと頭に入れた上で、適切なカタログギフトを選んでみてください。