昇進や栄転のマナー、発表前に再確認を

ビジネスシーンにおいて、相手とより良い関係性を築くために「贈り物」は有効な手段となってくれます。特に相手の昇進や栄転の際には、お祝いや贈り物で「おめでとうございます」という気持ちを伝えたいところです。

とはいえ、ビジネスシーンにおける重要なやりとりだからこそ、「なんとなく」でこなすのは危険です。マナー違反と判断されれば、せっかくのお祝いや贈り物も逆効果になってしまう可能性があります。

そこで今回は、相手を不快にさせないために把握しておくべき、「昇進や栄転のお祝い・贈り物のマナー」について解説します。社会人の基本として、頭に入れておきましょう。

昇進祝い、昇格祝い、栄転祝いのマナーはそれぞれ違う

昇進祝い、昇格祝い、栄転祝いのマナーはそれぞれ違う

昇進や昇格、栄転は、ビジネスパーソンにとって非常に喜ばしい機会です。もし身近にこのような人がいれば、積極的にお祝いの言葉を伝えたいところです。きちんとした「お祝い」と共に、「贈り物」をすることで、相手への気持ちをより率直に届けることにもつながるでしょう。

とはいえ、大切なのは「昇進」と「昇格」、「栄転」の意味、それぞれの違いについて正しく把握することです。「どれも同じような意味だから」と適当に使ってしまうと、相手側から間違いを指摘されてしまうこともあります。当然、非常に失礼な振る舞いになってしまうので、十分に注意しましょう。

「昇進」とは、同じ部署内にて、地位が上がることを指しています。一方「昇格」は、社内での評価が上がることを言い、「資格試験に合格した」ようなイメージを思い浮かべると良いでしょう。

「栄転」は部署や支店を移動する際に、役職が上がることを言います。「同じ建物内での部署異動」の場合に「栄転」という言葉が使われることはなく、あくまでも「他都道府県への異動」を前提にしています。

「昇格」の場合、それはあくまでも「社内における評価アップ」であり、取引先企業などに対して、大々的に広報されるようなことはありません。「お祝いを贈る」という場合にも、会社内のごく内輪のみで、ひっそりと行うケースが多いようです。

一方で「昇進」の場合は、社外に対しても知らせる、大きな人事となります。取引がある企業で「昇進」があった場合には、きちんとした形でお祝いを贈ることがマナーと言えるでしょう。

「栄転」の場合も、相手が遠い部署に行くからと言って油断するのは禁物です。ビジネス上でのつながりは、どこでどのように生まれるかわからないもの。しっかりとお祝いをして、今後の関係性を円滑に保てるよう、意識することが大切です。

「昇格」「昇進」「栄転」、それぞれのお祝いを贈ろうと思ったときには、表書きも変わってきます。それぞれで「御昇格お祝」「御昇進お祝」「御栄転お祝」と、正しい言葉を選択してください。

お祝いにオススメのギフト、避けたいギフトとは?

お祝いにオススメのギフト、避けたいギフトとは?

「昇格」「昇進」「栄転」のお祝いは、人事が発表された段階で準備をスタートしましょう。正式な発表前であれば、「内定」と付けて贈ることができます。

これらのお祝い時に悩みがちなのが、「いったいどのような品物を選択すれば良いのか」という点です。

お祝いとしてふさわしい品物の例は、以下のとおりです。

  • ・現金
  • ・お酒
  • ・お花
  • ・ビジネスアイテム

「昇進や栄転のお祝いで現金を贈ることは、失礼にあたるのではないか?」と悩みがちですが、お花やお酒が集中しやすい中で、かえって喜ばれるものです。ただし相手が目上の人の場合や、「あまりにもストレート過ぎるだろう」と思うときには、現金ではなく商品券を用意すると、よりスマートな印象になります。近年は商品券の種類も多種多様になってきていますから、相手の趣味・嗜好に合わせて選択すると、より気持ちも届けやすくなるでしょう。

また「商品券でもちょっと……」という場合には、カタログギフトを選択するのがオススメです。カタログギフトであれば、何をもらうのかを相手が自分自身で選択することができます。このときのポイントは、「ビジネスアイテムも多く載っている、上質なカタログギフトを選択する」ということです。もらった側にとって、「何を選べば良いのかわからない」なんてことにもならないでしょう。

花も贈り物の定番ですが、その種類は慎重に決定するようにしてください。一番人気は「コチョウラン」ですが、やはりそれなりの価格がするものです。個人で贈ろうとすると、相手が困惑してしまう可能性もあります。部署内や仲間内など、グループ共同で贈る方法がオススメです。

個人としてお花を選択するのであれば、持ち帰りや世話の手間を軽減してくれる、プリザーブドフラワーなどが人気を集めています。「花言葉」にも注目し、お祝いとしてふさわしい種類を選択しましょう。

昇進や栄転のお祝いの金額相場は、3,000円~30,000円と非常に幅広くなっています。具体的な金額については、相手との関係性も考慮しながら決定しましょう。

お祝いとして避けるべきアイテムとは?

昇進や栄転など、華やかなお祝いの場所には、「ふさわしくない」とされる贈り物も存在しています。何も知らないまま、これらの品物を選択してしまうと、「なんて失礼な人なんだろう」と相手を怒らせてしまう可能性もあります。十分に注意してください。

お祝いの品としてふさわしくないのは、具体的に以下のような品物です。

  • ・靴
  • ・靴下
  • ・肌着
  • ・花瓶
  • ・食器

靴や靴下は「踏みつけるもの」、そして肌着は「下に身につけるもの」と捉えられてしまいます。相手に対する気持ちが、正しく届かなくなってしまいます。

一方花瓶や食器は「割れやすい・壊れやすい」という点がネックとなります。「今後長くご活躍いただきたい」という気持ちを込めて贈る際には、やはり「不向き」と考えた方が良いでしょう。

「靴」はビジネスシーンに欠かせないもので、「花瓶」は華やかな贈り物としても適しているようにも思えますが、実際には注意が必要なアイテムとなります。しっかりと頭に入れた上で対応してください。

相手はもちろん、周囲に対する気遣いも忘れずに

昇進祝いや栄転祝いは、出世する相手に対して贈られるものです。しかし周囲の状況によっては、「本人だけではなく周囲に対する気遣い」が重要な意味を持つこともあります。

出世をする人の裏には、出世争いに負けた人が存在するケースもあります。あまりに大々的に昇進祝い・栄転祝いをするということは、「それ以外の人」をないがしろにしてしまうこともあるのです。

もちろん「会社や部署全体として、お祝いムードが高まっている」ような場面もあるでしょうが、「そうではないケースもある」ということを、しっかりと頭に入れておいてください。後者の場合には、昇進祝いや栄転祝いが華美になり過ぎないよう配慮する必要があります。

仲間内でお祝いの席を設け、そこでお祝いの言葉を伝えれば、他の人が気分を害することはありません。個人的にお祝いを渡したいときには、プライベートなタイミングを狙ってやりとりをすることをオススメします。昇進・栄転するご本人に対して、しっかりと「気持ち」を伝えられると共に、周囲を不快にさせることもないでしょう。

マナーを守って、お祝いの気持ちを伝えましょう

マナーを守って、お祝いの気持ちを伝えましょう

ビジネスシーンにおいて、「マナーを守る」ということは基本であり、非常に重要なポイントでもあります。マナーを守らない振る舞いは、社会人としての評価を落とす原因になってしまいます。相手に対して「おめでとうございます」と伝える重要なシーンだからこそ、しっかりと意識しておきましょう。

昇格・昇進・栄転などの際にお祝いを贈る場合、まずはそれぞれの意味について把握した上で、「自分自身の立場で、どの程度のお祝いをするべきなのか」を考える必要があります。企業として、また個人としての対応方法を決定しましょう。

その上で、ぜひ相手に喜ばれるお祝いの品物選びを実践してみてください。「何が喜ばれるかわからないけれど、現金はちょっと……」という場面で活躍してくれるのがカタログギフトです。カタログギフトであれば、仕事が忙しく、ギフト選びに時間を取れない時期でも素早く用意できるため、安心です。

昇格・昇進・栄転など、人事発表が行われる前の時期には、ぜひこちらのマナーについても確認しておいてくださいね。